今でこそ、ハサミに限らず刃物や金属について、あるいは砥石なんかについてもオタクレベルだけど・・・
元々そんなものに興味が在った訳ではない。
研ぎ師としてシザーメーカーの研修を受けた頃は、心の中では「これで本当に生活できるのだろうか?」と思っていたし、理美容の技術者達がシザーを研磨に出す、という事さえも知らなかった。
経験を積むうちに徐々に、少しずつ、あっちにぶつかりながら、こっちで転んでいるうちに職人として出来上がってきたんだと思う。
今ではハサミを研ぐことが大好きになってしまった。
大学受験を控えた甥っ子を見て思ったのだが…
若い人たちが、大学や職業を選択する時期に「やりたいことが見つからない」とか「好きな事を仕事にしたい」などと云う。
でも多分、やりたいことが最初から分かっている人間なんてごく少数だと思う。
乱暴な言い方だけど、どんな仕事も長くやっているうちに好きになっていくものだと思う。
願わくば人に喜ばれる仕事をしたいものです。